世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

ウクライナ情勢沈静化で株価上昇も、駆け込み増配は下落の素


 ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、両国政府代表団による4回目の対面の停戦協議が29日、トルコのイスタンブールで開かれた。


 終了後、ロシア側代表のメジンスキー大統領補佐官は、ウクライナの「中立化」に関する条約の提案をウクライナ側から受けたことを明らかにし、持ち帰って検討する考えを示したとか。

 メジンスキー氏は「建設的な協議だった」と述べたと言う。


 一方、ウクライナ側代表団も「両国の首脳会談に持ち込めるほど、十分な(協議の)進展があった」と述べており、ロシアが求めるウクライナの「中立化」で歩み寄りがみられたのだそう。


 ここに来てウクライナ情勢は、俄に沈静化しそうな気配を見せている。


 

  また ロシアのフォミン国防次官は29日、ウクライナのキエフとチェルニヒウ近郊での軍の展開を大幅に縮小することを決定したと明らかにしているし、ロシアのショイグ国防相も29日、ロシア軍はウクライナで同国側の戦闘能力を大きく損なわせたと強調。

 今後は親ロシア派武装勢力が一部を実効支配する東部ドンバス地域の戦闘に集中すると、国防省幹部との会議で発言したと言う。


 ショイグ氏は、「軍事作戦」の最大の目的は「ドンバスの解放だった」と強調した事からも、首都キエフなどでの地上戦が膠着状態に陥っている状況を背景に、親ロ派支配地域に対する支援を優先する戦略上の方針転換を図っていると見られる。


 またウクライナ軍の航空戦力は既に事実上壊滅したとも指摘していて、これらの発言を総合的に判断すると、彼はロシア国内に向けて停戦の正当性を訴えているように見える。



 加えてロシアとウクライナの停戦交渉の仲介役を務めているとされるロシアの新興財閥オリガルヒの1人、ロマン・アブラモビッチ氏(55)に有毒物質による攻撃を受けたと疑われる症状が出たと米英メディアが報じたのだが、停戦協議の進展を優先したいからか、ロシア側もウクライナ側もその件についての強いコメントは控えた。


 今月初旬のキエフでの会合後、ウクライナ側交渉団の少なくとも2人にも同じ症状があったといい、停戦交渉を妨害しようとするロシア強硬派の警告との見方もあるが、英調査報道サイト「べリングキャット」の調査担当者は、使用された毒物の量や種類から、「殺害の意図ではなく、警告だった」との見方を示している通り、この程度の事は想定内か。


 恐ろしい話ではあるが、何はともあれ、停戦が進んでいる事は歓迎すべき吉兆である事に違いはない。



 そのほか北大西洋条約機構(NATO)は29日、ブリュッセルの本部で4月6~7日に外相会合を開催し、7日の会合には日本や韓国、オーストラリアなどを招待すると明らかにしたらしく、日本政府は林芳正外相が参加する方向で調整に入っている。

 ウクライナも招待し、ロシアへの対応で連携強化を確認するとみられる。


 NATOによると、7日の会合に日韓豪、ウクライナのほか、フィンランドやジョージア、ニュージーランド、スウェーデン、EUを招待すると言う。

 

 NATOは今月24日に首脳会議を開催。

 中国に対し、ロシアへの支援自制を求める共同声明を発表していて、それらは中国への牽制が主な目的なのであろうが、日韓豪迄招待するとは、NATOは愈々停戦後を見据えて動き出したと見て間違いない。



 一方、29日日本時間深夜に開場した米株式市場で、ダウ工業株30種平均は大幅に4日続伸して始まり、午前9時35分現在は前日比410ドル18セント高の3万5366ドル07セントで推移している。

 ロシア国防省が29日、ウクライナの首都キエフや北部チェルニヒウの軍事活動を縮小すると発表した。

 停戦交渉の進展への期待から幅広い銘柄に買いが先行していると言う。



 それに29日の東京株式市場でも日経平均株価は反発し、前日に比べ308円53銭(1.10%)高の2万8252円42銭で終えた。

 きょうの高値で取引を終え、1月18日以来およそ2カ月ぶりの高値となった。

 米原油先物相場の下落や円安・ドル高基調を材料に朝方から買いが優勢だった。

 3月期末の配当権利付き最終売買日にあたり、配当再投資に絡んだ先物買い期待も相場を押し上げ、引けにかけて上げ幅を広げた。



 そうして一見平穏な配当権利付き最終売買日の東京であったが、私が空売りした5009・富士興産は1000円の104円高と大きく上昇。

 お蔭で売り建保証金の追徴金を納める羽目に陥ったが、今夜のpts私設市場では900円前後迄大幅に下落してくれた。


 弱気の私としては、ホッと胸を撫で下ろす事が出来たのだが、解せないのは富士興産が配当権利付き最終売買日の前日に、大幅な増配を発表した事である。


 25日に空売りを掛けていた私には打つ手がなく、株価の大幅な上昇を余儀なくされたが、良く良く考えれば権利落ちの30日にはどんなに配当が大きくとも、必ず下がるのだ。

 それに配当が上がれば上がる程、権利落ち日に株価は下がるものである。


 してみると富士興産は配当権利付き最終売買日の今日だけ、故意に株価を上昇させたかったのではないだろうか。


 市場では煽られて買った上に、配当の権利跨ぎをした人が殆んどで、買いに回った人は明日の株価急落に青ざめる事になろう。

 況してや配当性向100%を謳い、事前にファンドの売った株を自社株買いまでしておいて、その配当が巷で噂されている程大した事無いとなれば、失望売りで更なる株価下落を誘う。


 仮に29日だけ株価を吊り上げたかったのだとして、もし富士興産に関わる人間が高値で売り抜けていたとしたら、許せない行為だ。

 無論そうなれば、売りに回った私は勝ち組の少数派となるが、何とも皮肉である。


 

 やはりウクライナ情勢沈静化での株価上昇は大歓迎だが、駆け込み増配までして故意に株価上昇を誘う事は謹んで貰いたいし、株価下落の素だと思うのだが、如何か。

 

 とにもかくにも、ウクライナに平穏を。

 ウクライナに栄光あれ!