世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

 形骸だけのIPEF発足宣言と、有名無実な来日の手土産


 読売新聞オンラインが、訪日中のバイデン米大統領は23日、米国が主導する新たな経済連携「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を宣言したと報じた。


 ただ、そのIPEFであるが、高水準のTPP、世界最大規模のRCEPと比べると、かなり見劣りすると言うのだ。


 と、言うのも、TPPやRCEPのように、関税を相互に撤廃する「自由貿易協定」ではないことが根本にある。


 IPEFにはRCEP交渉から離脱したインドや、TPPに加入していないASEANの盟主インドネシアが含まれており、参加国の顔ぶれはTPPやRCEPをしのぐ広がりを持つものの、TPPのように、「国有企業の優遇規制」「環境」「労働」に関する規定などの厳格な取り決めがある訳でもなく、規模にしても、中国が交渉を主導したRCEPが域内GDPは世界の約30%とTPPを上回る、世界最大規模の経済連携協定には及ばない。


 またIPEFの参加国は、一部の分野だけ加わることも可能ということでもある。

 つまり一部の分野だけ参加する国が多ければ、経済連携枠組みとしての効果はTPPやRCEPに及ばない可能性がある。


 そうして米国のTPP復帰を求めている日本は、IPEFをどう評価しているのかと言うと、ある通商幹部は「関税引き下げを扱わず、米国市場への参入機会が得られないIPEFに東南アジアの新興国が加入するメリットが見えない」と効果を疑問視する声もあるのだとか。




 もともとTPPは米国がアジア太平洋地域で経済的影響力を強める中国をけん制する狙いがあり、米国主導で2010年から交渉を開始し、16年に12カ国が協定に署名したことにあったが、その肝心要の米国が、「米国第一主義」を掲げたトランプ前政権が17年に離脱。


 農業に弱く、工業に強い日本とは反対に、アメリカは農業に強く、工業に弱い国。

 当時からかつてのアメリカを支えていた鉄鋼業や重工業が集中するペンシルベニア州やオハイオ州は「ラストベルト」と呼ばれ、経済発展から取り残され、多くの住民が苦しい生活を余儀なくされていた。


 TPPによって、海外の優れた工業製品が安く国内に流入すると、アメリカの企業はこれに対抗してより人件費の安い国に工場を移転し、製品価格を下げる必要に迫られる。

 すると、国内の産業や雇用が失われることになり、多くの人が打撃を受けるのは明白。

 

 そこでトランプ大統領は選挙時に、彼らからの票を獲得するために「アメリカ・ファースト」を公約に掲げ、当選後は公約通りにTPPから離脱したのだ。

 

 その後米国を除く11カ国が参加して、18年12月に発効した経緯がある。



 

 そうして通商交渉で身動きが取れず、アジア太平洋地域で中国の後手に回ってきたバイデン政権がひねり出した代替策がIPEFなのだと言う。


 言わばIPEFは、経済連携協定と言うよりも、中国牽制の為に作られた(仮)の枠組みなのである。


 バイデン氏にすれば、形骸だけの枠組みの発足宣言をするのには、何でも言う事を聞く日本への訪問時が、調度都合良かったと言うところか。


 それに、先々代大統領のオバマ氏が言い出しっぺのTPPを反故にした経緯など、まるで無かったかのような態度を見せても、「岸田のび太」は満面の笑顔を見せるのだから。


 加えて言うならば、今や日本が主導するTPPには、何度誘おうとも、今後も一切加盟しないと言う最後通牒の意味もあるのだろう。


「バイデン・ジャイアン」に取っては、所詮「岸田のび太」には、「俺がIPEF創るんだから、お前もIPEFに入れてやるよ。その代わり金輪際TPPには戻らねえからな。分かったかぁ、のび太!」、と、でも言うところか。


 何とも情けない話だが、それがG7最弱の今の日本の首相の有り様であり、日本の実力なのである。

 

 また、バイデン氏が今回「岸田のび太」に持って来た手土産が奮っている。




 FNNプライムオンラインの伝えたところでは、岸田首相は23日、東京都内でアメリカのバイデン大統領と会談後、共同記者会見に臨み、バイデン大統領が「改革された国連安保理」において、日本が常任理事国になることを支持するとの表明があったと明らかにしたと言う。


 岸田首相は会見で「私から国際社会の平和と安全に主要な責任を負う安保理を含め、国連改革の強化と必要性を述べ、バイデン大統領から賛意が示された」と述べた。


 その上で、バイデン大統領から、「改革された安保理」において、日本が常任理事国になることを支持するとの表明があったことを明らかにしたのだそう。




 私はこの報道を得て涙が出そうになった。


 無論有難さの余りではなく、情け無さの余りにである。


 事務総長がウクライナを訪問した際に、ロシアにミサイルを撃ち込まれる、あの何の影響力も無い国連の常任理事国なのだ。


 バイデン氏にすれば、「岸田のび太」には適当に金の掛からない有名無実な手土産でも渡しておけ、と、でも言ったところか。


 思いやり予算を減らして貰うでもなく、一向に進まない沖縄の基地負担軽減をしてくれるでもなく、国連の常任理事国への支持とは、何たる屈辱なのだろう。


 

 戦後日本の先達が積み上げて来たものは、いったい何だったのか。


 今後の日本を背負っていくZ世代の若者達は、今般のウクライナ侵攻にも、核の脅威にも、まったく無力で、何の影響力も持たない国連の常任理事国へのバイデン氏の支持を、有難い事だと素直に喜ぶのだろうか?



 そうだとするならば、彼らには伝えておかなければならない。


 教科書では伝えていない戦争の酸鼻を。

 

 沖縄や広島や長崎で起こった悲劇を。


 綺麗事では済まされない戦争の酸鼻を。


 しっかりしろ、日本!

 

 目を覚ませ、日本!


 このG7最弱の国力を挽回し、国連の常任理事国などではなく、TPPの加入を米国へ促す事の出来る真の力を持つべきなのだ、と。


 ロシアを始め中国や北朝鮮に、嚇しや、力による現状変更は許されない、と、促す事の出来る真の力を持つべきなのだ、と。


 その為には、先ず、今、日本がどれだけ脆弱なのかを知る必要があるが、それを知ってしまうと、或いは彼らは諦めてしまうのかも知れない・・・・・。


 しかし、希望を捨ててはならない。


 そう言える私でありたい。




 そんな尤もな事を言ったところで、日本の弱体化と円安は止まらない。


 今日のレートは1ドル127.8円である。


 果たしてこのドル円のレートからして、今の日経平均の2万7000円は適正なのか?


 例えば1ドル115円換算で戦略を立てている企業からすると、輸出企業であれば収益は凡そ一割増にはなるが、だからと言って単純にそれを日経平均にスライドさせる事は出来ないようにも思うし、逆に円が一割安くなっていることから、単純に日経平均を一割引きにした株価が適正と言うのもどうかと思う。

  

 果たして適正な株価とは?



 と、そんななか、日経電子版の伝えるところでは、23日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、前週末比262円49銭(0.98%)高の2万7001円52銭で終えたと言う。

 大引けにかけて再び強含む展開だった。

 20日の米市場で長期金利が低下したため、朝方は東京市場でハイテク株の一部に買いが入り上昇して始まった。

 上げ幅は一時300円を超えたが、節目の2万7000円前後は戻り売りが出易く伸び悩んだ。

 大引け間際、日米共同記者会見でバイデン米大統領が「対中関税の引き下げを検討している」と発言すると日経平均は上げ幅を広げた。

 大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「米経済の最大の懸念材料となっているインフレを抑制する思惑がありそうだ。米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めへの過度な警戒感を和らげ、市場心理の改善につながる可能性がある」との見方を示したのだそう。



 またNQNニューヨーク=戸部実華のレポートによると、23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸して始まり、午前9時50分現在は前週末比405ドル68セント高の3万1667ドル58セントで推移していると言う。

 前週はインフレが企業収益を圧迫するとの懸念が高まり、ダウ平均は週間で934ドル下落したことから、割安感や値ごろ感に着目した買いが相場を押し上げている。

 バイデン米大統領が23日、中国製品に課している制裁関税の引き下げを「検討している」と述べたのも、インフレの抑制や米中貿易の拡大につながるとみた買いを誘った。

 景気敏感株や消費関連株の上げが目立つ。

 23日に2022年の純金利収入見通しを引き上げた金融のJPモルガン・チェースが高い。

 同業のゴールドマン・サックスも買われている。

 クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや同業のビザ、建機のキャタピラーも買いが先行し、ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数はもみ合いで始まったのだそうだ。

 



 先日来私は、セルインメイ「5月に売れ」の格言を、今一度に胸に刻んでいるところであり、日経平均が28000円を取り戻し、日経ダブルインバース(弱気ETF)が350~360円の安値を付けたら、一先ず資金の7割程度をダブルインバースに置き換えるつもりだと書いている。


 そうして、適正な株価がどの辺りかを考えたとき、日経平均の28000円は些か高いような気がするのだ。


 ただ、先週までは株価下落から、もう少し早く、日経ダブルインバース(弱気ETF)を買うべきだったか、と、心が揺らいだが、一転今週は株価が復活傾向にある。


 何としても私は当初の予定通り、5月最終週迄に前述したトレードを完遂させたい。


 私としてはウクライナの勝利を目前にした今、御祝儀相場宜しく、ニューヨークや東京の株価がこの5月の月末に掛けて再び上昇する事を信じたい。


 とは言え、日経平均が28000円を取り戻したら、その先にある中国経済の停滞による株価急落を懸念し、今も私は日経ダブルインバース(弱気ETF)を買うつもりでいる。


 何と言っても、今日の東京も、今夜のニューヨークも、バイデン米大統領が「対中関税の引き下げを検討している」、と、発言した事が影響しての株価上昇である。


 今や株価は、中国の景気次第なのだから。

 



 さて、そうした相場が到来するのか?


 相場の一寸先は、神のみぞ知るところ。




 何よりも、ウクライナに恒久の平和を。


 そして、ウクライナに栄光あれ!