世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

 ウクライナ情勢と資源株の相関々係


 米国防総省高官は30日、ロシア軍がウクライナのチェルノブイリ(Chernobyl)原子力発電所から撤退を始めたことを明らかにした。


 ロシアはウクライナへの侵攻を開始した先月24日、同原発を占拠していた。

 同高官は、現地のロシア軍が「一部部隊の再配置を始めており、チェルノブイリ施設を去り、ベラルーシへ移動している」と説明。 

 「撤退していると我々は考えているが、全部隊が去ったかどうかは分からない」と述べた。


 ところが、北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は31日、ウクライナに侵攻しているロシア軍の撤退は確認されず、「更なる攻勢」が行われる可能性があるとの見解を示した。


 事務総長は記者会見で、「われわれの情報によると、ロシア部隊は撤退しているのではなく再配置している。ロシア側は、(ウクライナ東部の)ドンバス(Donbas)地方で部隊の再編成、再補給、強化を図ろうとしている」と述べたと言う。


 さらに、「同時にロシアは、キエフなどの都市への圧力を維持している。よってさらなる攻勢があり、さらなる被害がもたらされると考えられる」とも説明した。


 そうして米国防総省高官とNATOの事務総長では、若干受け止めが違うが、早い話が、待していた停戦交渉の進展は見られず、プーチンは兵士を何人殺そうとも、この戦争を続ける気だと言う事である。



 その他、英情報機関である政府通信本部(GCHQ)のフレミング長官は30日、ウクライナにいる一部のロシア兵が命令を拒否し、自らの装備を破壊したほか、誤って自軍の航空機を撃墜したことを示す新たな情報が得られたと明らかにしたと言う。


 オーストラリア国立大学(キャンベラ)で行われた講演録によると、フレミング氏は、ロシアのプーチン大統領がかつて強大だったロシア軍の能力を「大きく見誤った」ほか、ウクライナ国民の抵抗と制裁を発動した西側諸国の決意も過小評価していると指摘。


 新しい情報を基に、ロシア兵士の士気が低く、装備が不十分である証拠があるとし他、「プーチンのアドバイザーは彼に真実を伝えることを恐れていると思われる」と語った。


 つまりフレミング氏は、ロシアがこの戦争を有利に戦っていない、若しくは劣勢であると言っている訳なのだが、そうして幾らフレミング氏が尤もな事を語っても、恐らくプーチン自身は彼が政権の座を下りるまで、その事に気付かないだろう。


 またフレミング氏は、西側諸国がロシアに対して事実上の経済戦争を宣言した為、ロシアが今後は欧州から離れ東に目を向け、中国とパートナーシップを構築すると表明しているが、「しかし、あまりに緊密な連携は両国にとってリスクがある」とも指摘。


 「ロシアは、長期的には中国が軍事的にも経済的にもますます強くなることを理解している」とし、 両国の利益の一部が対立する可能性があると述べた。


 つまり中露は一枚岩では無いと言う事。


 これ等の情報を整理して考えると、プーチンはロシア軍が劣勢である事も理解出来ずに、停戦協議中にも関わらず、遮二無二、攻勢を強め、この戦争を終わらせる気が無いのである。

 そしてそれを支援する中国の習近平氏が、

プーチンの盟友であるように見えて、実は距離を置いているのだと言う事。


 それにしても歪な中露の関係であるが、原油やLNGと言った資源の売り買いの面では、中国もロシアも適当に仲良くしていれば、互いに都合が良いと言うもの。


 何となれば、世界的な経済制裁を掛けられているロシアに取っては、この先ドイツが原油やLNGを買ってくれなくなっても、たとえ安く買い叩かれようが、中国に原油やLNGを買って貰えれば、唯一外貨を獲得出来る逃げ道になるからだ。

 また中国にしても、そうして安く資源を買えるのだから、都合良いことはこの上無い。 

 

 それに引き替え、日本は、と、言うと、中東やオーストラリアと言ったところが主な買い付け先であるとは言え、今後アメリカのシェールオイルの生産が元に戻る一年後くらい迄の間は、ロシア産の安い資源が手に入らないのだから、何をか況んやである。


 何と言っても、私のような貧乏人は、プーチンのせいで、冬は暖房もつけれず、夏は冷房も無しで過ごさなければならないのだから辛い。


 無論、ウクライナの為にも、その程度のことは我慢しなければならないし、ロシアの資源なんぞ糞喰らえではあるが。


 また、期待していたOPECプラスの増産も、 小幅増産を維持する、と、言う、悲しいお知らせが届いた。



 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくるOPECプラスは3月31日、閣僚級会合を開き、従来の供給増の維持を決めたと言う。

 悲しいかな、米欧等が求めていた追加増産は見送ったのである。


 OPECプラスは2020年5月、新型コロナウイルス禍による原油価格の急落を受け過去最大の協調減産を開始。

 経済活動の再開に伴い原油需要が回復してきたことから21年8月以降、生産量を毎月、日量40万バレルずつ増やしてきた。

 会合では5月も生産量を同43万2000バレル増やすことで合意し、これまで通り小幅増産ペースを続けると言う。


 ロシアのウクライナ侵攻と、それに伴う欧米による対露経済制裁を受け、原油価格は高止まりしている。


 欧米などは産油国に対し追加増産を繰り返し求めてきたが、会合にはロシアも参加しており、産油国の足並みの乱れを嫌うOPECプラスは慎重な姿勢を崩さなかったのだそうだ。



 何とも歯痒いが、それが現実なのである。

 日本には日本の都合があるように、産油国には産油国の都合があるのだ。


 畢竟、我が国の東京市場に於いても、資源株は高止まりすると言うことになる。



 さて、その31日の東京株式市場だが、日経平均株価は続落し、前日比205円82銭(0.73%)安の2万7821円43銭で終えた。

 朝方は前日の米株安などを受けて安く始まり、下げ幅は260円を超える場面があった。

 日本時間31日午前に米政権がインフレ対応策で石油備蓄の放出を検討しているとの一部報道が伝わると日経平均は下げ渋り、上昇に転じる場面もあったと言う。


 その他、日本時間31日午前に発表となった中国の経済指標をきっかけに、中国景気の減速に対する警戒感が広がった。

 4月1日に日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)が公表されるほか、日本時間31日夜には米国では米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標の2月の個人消費支出(PCE)デフレーターの発表を控える。

 午後にかけては徐々に手控えムードが強まった。


 尚、3月の日経平均は月間で1294円(4.9%)上昇した。

 上昇は3カ月ぶりで、上げ幅は2021年9月以来の大きさだったらしい。 


 次いで今夜、3月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均だが、続落で始まり、午前9時35分現在は前日比110ドル18セント安の3万5118ドル63セントで推移している。

 3月後半以降の急ピッチな上昇を受け、一部テクニカル指標は短期的な過熱感を示唆しており、利益確定の売りが先行している。

 月末と四半期末が重なり、機関投資家が買いを手控えているとの見方があるほか、原油相場の下落を受け石油株が売られている。



 と、東京も、ニューヨークも、米政権がインフレ対応策で石油備蓄の放出を検討していることから、原油安を受けて資源株は総じて安い。


 我が国の資源株の雄、1605・INPEXも今日は1440円の20円安と、最高値からは少し安いレンジで推移している。


 筆頭株主は経産大臣名義の、政府御用達銘柄であるこのINPEXの主力輸入先はオーストラリアと中東で、ロシア産は手掛けていない事もあって、業績も株価も絶好調。


 それに1バレル70ドルで採算を組んでいる事から、1バレル100ドルの今は、利益も株価も1.5倍となのである。


 ただ、為替が1ドル110円の想定らしいので、1ドル120円の今は約1割のマイナス。


 仮に、1バレル70ドルで、1ドル110円程度のレンジになれば、単純に株価も利益も約7割となり、株価ベースでは凡そ1000円が適正価格と言うことになる。


 私としては、仮にプーチン政権が崩壊し、ロシア産原油が流通するとすれば、1605・INPEXを1500円の辺りで空売りしたいと思っている。

 その後は1000円で買い埋める作戦。


 然し乍らそれには、先ずプーチンが失脚しなければならないので、やはりそれ相応の時間が必要になって来る。


 ただ、それが、そんなに遠い将来ではないように思う私なのである。


 そして何よりも、ウクライナに平穏が訪れる事を祈りつつ、そんなに遠くない将来、戦争が終結する日を待ちたい。


 ウクライナに栄光あれ!