世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

中国に従属化するロシアのリスクに揺れる、subject to して来た日本の東京市場


中国に従属化するロシアのリスクに揺れる、subject to して来た日本の東京市場


 

 愈々今日、この5月9日、ロシアは旧ソ連時代の第2次大戦での対ナチス・ドイツ戦勝77年を祝う記念日を迎える。

 キーウの共同通信によると、愛国心が高揚する最も重要な休日で、プーチン大統領が午後に演説予定だとか。

 長期化するウクライナ侵攻を国民にどう説明するか注目されるところで、この日を契機にロシアが完全掌握を目指す東部2州で攻勢をさらに激化させる可能性があり、ウクライナは警戒を強めていると言う。

    

 9日は首都モスクワの赤の広場では大規模な軍事パレードが行われ、核戦争時に大統領が指揮を執る政府軍用機「イリューシン80」も飛ぶ予定。

  

 同機は「終末の日」と呼ばれており、ウクライナを支援する欧米をけん制する狙いがあるのだとか。

   

   

 ただ、プーチンは今後癌を手術するのだとか、FSBによるクーデターが起こるのだとか、とかく、きな臭い噂が付き纏う。


 またその戦勝77年を祝う記念日に於いて、プーチンはウクライナのナチ化を非難し、自身の正当化を主張する以外、国民に報告出来るプラス要素が何も無い。


 それに一部米英の情報機関が「戦争宣言を行い、国家総動員体制を取らないといけない可能性がある」、と、発表するほどロシアは追い詰められていると言うし、危ういことこの上ないロシア。


 加えて、日経新聞の秋田コメンテーターの記事でも、このままロシアが窮すれば、経済の対中依存を更に深めるだろうし、事実上中国に従属する国家に陥っていく可能性があると言う。


 私に言わせれば、可能性があると言うよりも、ロシアは既に中国に従属する国家に陥っている。

  

 何となれば、今後は必ず敗戦に追い込まれるウクライナとの戦争の影響で、最早ロシアは大国ではなくなってしまい、中国に依存しなくては国家として成り立たないからだ。


 それでなくとも、中国とは比べものにならない程GDPが矮小化していたロシアである。

 そこへウクライナ侵攻で、欧米にはLNGや原油等を禁輸にされ、おまけにズベルバンクまでSwiftから排除までされてしまう有り様。

 それら資源を中国に売るほかない彼らの懐事情も相まって、既にロシアは中国に従属する国家に陥っていると言わざるを得ない。


 いったい原油やLNGを、相場の何割引で中国に売るのだろうか?

 徳をするのは中国ばかりである。

   

 その他、日経新聞によると、今後は中国が尖閣や台湾海峡で紛争を起こした際、中国を利する挙動に出る可能性もあると言う。


 今迄は、中国の起こす紛争に巻き込まれるのを避けたかったロシアであるが、中国への依存が進み属国となってしまった今後は、ロシアが北方領土や北海道に対して、中国と同時にちょっかいを出してくる可能性もあるのだそうだ。


 つまり安全保障上、日本に取っては、「チャイナリスク」=「ロシアリスク」であり、「ロシアリスク」=「チャイナリスク」になると言うこと。

 無論、経済面に於いても然り。

 

 やっかいな話だ。

 


 思い起こせば日本もポツダム宣言の受諾時に於いて、「subject to」しなさいと言われ、連合国、つまり米国に対し、終戦直後から今迄ずっと「subject to」して来た。


 然し乍ら、ロシアと違って日本国民が幸運だったのは、「subject to」した相手が米国だったことである。

 無論そこに到る迄は、広島・長崎への原子爆弾投下等の悲劇はあったが、今後のロシア国民を襲うであろう運命を思うと、百八十度逆に幸運だった戦後の日本国民の運命。


 ただ、今後はウクライナ侵攻で証明された通り、自身の領土は自身で守らないと、誰も助けてはくれないと言う事を、我々日本国民も知っておかなければならない。


 国体護持を唯一の条件とし、その他の条件は何ら付さずに、当時の鈴木貫太郎内閣が実質無条件降伏を行ってくれたお蔭で、戦後から今迄日本国民は、国防の一切を「金」だけ出して米国に任せきりに出来た訳である。


 但し、今後はそうは行くまい。


 当然、国民の負担は増える一方である。

 故に防衛費の負担が増える事も、株価に影響の出るところだと言う事は、総ての投資家が肝に命じておかなければならないところ。


 さて、その「subject to」だが、本土決戦による徹底抗戦を望む大本営や陸軍省、海軍省の少壮将校の訳では、「日本は隷属すべき」だったのだが、戦争の早期終結を望む外務省は、「制限下に置かれる」と訳したらしく、当時2つの訳があったのだと言う。


 何れの訳が正しかったのか、或いは2つの訳共に間違いなのか、正解なのかは別にして、これからの日本は、単に米国に「subject to」しているだけでは済まされないと言うことは、火を見るより明らか。


 今となっては、凡その日本人は米国にずっと「subject to」していたいと思っているだろうに、今後そうはいかないとは何たる皮肉。

 それにしても、敗戦を屈辱と感じていた当時の日本人にしてみれば、2022年の日本がこんなになるとは、夢にも思わなかったろう。

 

 ちなみに直木賞作家の浅田次郎氏は、米国の示した、この「subject to」を、「まぁ、悪いようにはしねえから、黙って俺に任せておけ」、と、著作のなかで訳していて、私としては浅田氏のこの訳が、最も正鵠を射ていると思う。


 そんな日本の東京市場も、今日は流石にニューヨークに連れて安く始まった。



 日経電子版では、9日午前の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落し、前週末比593円26銭(2.20%)安の2万6410円30銭で前場を終えた事を伝えている

 米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めを受けた米長期金利の上昇が重荷となったのだそう。 

 一部地域でのロックダウン(都市封鎖)が続く中国経済の先行き不透明感も悪材料視され、前場を通して軟調だった。

 下げ幅は一時660円に達した。


 先週末6日に発表された4月の米雇用統計では、労働市場の逼迫が続いておりインフレ圧力が依然として高いことが示された。

 米長期金利は3.1%超まで上昇し、株式市場への逆風が強まった。

 同日の米国株は総じて下落基調となったうえ、日本時間9日午前の取引でも米ダウ工業株30種平均の先物で流動性の高い「Eミニ・ダウ平均」の6月物は1%超下げた。

 こうしたなか、キーエンスをはじめとする成長(グロース)株やソフトバンクグループ(SBG)などを中心に大幅に下落。


 新型コロナウイルス感染防止のため、上海市などで経済活動の制限が続く中国の動向も投資家心理を冷え込ませた。

 中国関連銘柄とされるファストリが6%超下落した。

 安川電は年初来安値を更新した。

 国内企業の決算発表が集中する週とあって、週初から積極的な買いを入れる向きは少なく指数は安値圏での推移が続いたと言う。

 


 そんな今日の東京市場が、今日の後場に下げた分を幾らかでも取り戻せるのか、更に下げ続けるのかの予想は、今は止めておく。


 余りにも不確定要素が多過ぎて、人間の脳では荷が重過ぎるからである。

 殊に私のような大雑把な人間の脳には。

 人工知能でもどうかと思うほどである。


 先ずは今日の戦勝記念日に、プーチンがモスクワでどんな演説をするのか、それを聞いてみようではないか。 


 それに中国の属国となったロシアの動きを、今後米国に「subject to」 出来ない日本の投資家が知る事は、義務にも等しいのだ。


 

 何よりも、ウクライナに恒久の平和を。


 ウクライナに栄光あれ!




追伸・先日も書いたが、私としては、セルインメイ「5月に売れ」の格言を、今一度に胸に刻んでいるところ。


 日経平均が28000円を取り戻し、日経ダブルインバース(弱気ETF)が350~360円の安値を付けたら、一先ず資金の7割程度をダブルインバースに置き換えるつもりだ。

 5月最終週迄は、その機会が到来するのを待つつもり。




ロシア大統領を蝕む癌と、株式市場に巣食う癌