世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

ロシア大統領を蝕む癌と、株式市場に巣食う癌


 FNNプライムオンラインの伝えるところによると、ロシアのプーチン大統領が癌の手術で一時軍事作戦の指揮権を手放すと言われているのだそうだ。

 

 英国の大衆紙「デイリー・メイル」「ザ・サン」「ザ・ミラー」の電子版などが4月30日そろって伝えたと言う。

  

 情報源はいずれもロシアのSNS「テレグラム・チャンネル」のGeneral SVRという軍事問題のサイトで、「クレムリン内情に詳しい軍関係者」の話を根拠にしている。

     

 三紙の情報を総合すると、プーチン大統領は胃ガンが進行して医師団から手術を強く勧

められ、当初4月後半に予定していたが延期された。

 今のところ5月9日の戦勝記念日が終わってからになるという。


 手術には数日入院する必要があり、また術後も直ちに復帰するのは難しいだろうと考えられている。

 そこでプーチン大統領は一時軍事作戦の指揮権を手放し、ロシア連邦安全保障会議の書記で元FSB (ロシア連邦保安庁)長官のニコライ・パトルシェフ氏(70歳)に指揮権を委託するという。


 ロシア連邦憲法は、大統領が職務を遂行できなくなった場合は首相に権限を移譲するよう定めているが、現首相のミハイル・ミシュスチン氏はテクノクラート(技術官僚)出身で、軍隊での経験もなくプーチン大統領に忌避されたらしい。


 一方パトルシェフ氏はレニングラード出身で、かつてはKGB(ソ連国家保安委員会)の要員でもあり、プーチン大統領と経歴を共有することで同大統領のおぼえも良く、二人は2時間に及ぶ面談の末この人事が決まったと言われる。

 

 この面談でプーチン大統領はパトルシェフ氏に対して同氏はロシアの権力構造の中でただ一人信頼に足る友人だと伝え、さらに「もし、手術後の経過が悪く国家行政に支障が出るようになったら行政権もあなた(パトルシェフ氏)に一時的に委託するつもりだ」と言ったと情報源は明らかにしている。


 この情報の真偽のほどは定かではないが、情報源の「General SVR」は一年半前にプーチン大統領がガンの疑いがあると初めて指摘したサイトで、欧米ではそれなりに存在が注目されている。


 さらに、このニュースを電子版のトップで伝えた英国紙「ザ・サン」は、その見出しの書き出しに「(プーチンは)ナイフを突きつけられる」と、手術用のメスをもじってプーチン大統領が暗殺される危険を暗示しているが、ロシア政権内に権力の空白が生ずれば予想外のことが起こりうることも覚悟しなければならないだろう。


 

 これが事実であるとすると、近いうちにロシアの政権内部で、戦争遂行の権限が委譲されると言う事になる。 


 と、すると、プーチン降板以降仮にパトルシェフ氏が大統領になれば、戦争が終結する可能性が大いに出てくる。


 ロシアが民主化するとは考え難いが、戦争終結の可能性はプーチンが生きているよりも、ずっと高まるのである。


 何となれば、プーチンが息絶えた直後にこの戦争を終結すれば、プーチン一人に罪を擦り付けた上に、自身が戦争を終結させた英雄になれるからだ。


 また、このまま戦争遂行を継続させた上でNATOとの戦闘ともなれば、最早ロシアと言う国の存続さえ危うい。


 それとは逆に、戦争を早期終結させ、プーチン一人を戦争犯罪者にすれば、戦後補償も相当軽くして貰えるだろう。


 無論、その事はプーチンも分かっていて、そんな事をされたくないから、パトルシェフ氏を選んだのだろうが、しかし仮に彼が次期大統領の座を得たら、そんなものはプーチンの幻想であったと言う事になるだろう。


 第一プーチンは、その時にはこの世に居ないのだから。


 それに何より、この不条理で、大虐殺とも言える戦争の遂行を継続させたい異常な人間など、プーチン以外にはいないだろうから。

 

 国際社会から非難され、経済制裁を受け、ロシア人全員に犯罪者のレッテルを貼らせて迄、遂行させて来た今回のウクライナ侵攻。


 プーチンは自身の死に際し、果たして何がしなかったのだろうか。


 思うにプーチンは、自身の死期を悟り、スターリンのように死後もロシア国民から敬愛される存在で居たかったが故に、今回のウクライナ侵攻を始めたのではないか。


 だとすると、勘違いも甚だしい。  


 プーチンは忘れていたのかも知れない。


 スターリンの死後、レーニン・スターリン廟に冷凍保存されたスターリンの遺体が、フルシチョフによって火葬された事や、「スターリングラード」の地名が「ヴォルゴラード」に改名された事を。


 否、そんな程度では済まされない。

 

 プーチンの死後、彼は今世紀最悪の犯罪者として、ウクライナ国民だけでなく、全世界から忌み嫌われるだろうし、遺体には唾を吐きかけられることだろう。

 そしてプーチンの親族は、一生プーチンの親族だと言う事を隠し、目立たぬようひっそりと生きていかなければならなくなる筈だ。


 私は医師ではないが、それでも人一人の命が癌に蝕まれて行く事態を、慶事として捉える事は如何なものかと思う。


 然し乍ら、プーチンの身体を蝕む癌についてだけは、彼以外の人に対するそれと、全く違う感慨を抱くのは、私だけではあるまい。



 そんなゴールデンウィークの真っ只中でも、ニューヨーク市場は開場している。

 朝日新聞社の伝えるところでは、4日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業で作るダウ工業株平均が一時、950ドル超上昇したと言う。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、さらに早いペースの利上げについて「積極的に検討しているものではない」と発言。株式を買う動きが広がった。

 終値は、前日より932・27ドル(2・81%)高い3万4061・06ドル。


 FRBはこの日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、物価上昇を抑えるため0・5%幅の利上げを決めた。

 前回の2倍の利上げ幅で、22年ぶり。   

 想定通りの内容で、FOMCの声明発表時はダウは小幅な値上がりで取引されていた。


 その後のパウエル議長の記者会見中に株価が大きく動いた。

 パウエル議長は0・75%幅というさらに早いペースで利上げする可能性を質問され、否定的な見方を示した。

 市場の一部では、0・75%幅の利上げの可能性を織り込んでいたため、株式を買い戻す動きにつながった。

 金利も低下したのだそう。


 またハイテク比率が高いナスダック総合株価指数も3日続伸し、前日比401.099ポイント(3.2%)高の1万2964.856で終えたと言う。

 ネット検索のアルファベットや交流サイトのメタプラットフォームズなど主力株がそろって上昇したのだそう。

 前日夕に発表した四半期決算と通期見通しが市場予想を上回った半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が9%高と急伸。

 エヌビディアなど他の半導体株にも買いが波及したと言う。


 ところが5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落して始まった。

 午前10時現在は前日比496ドル94セント安の3万3564ドル12セントで推移していると言う事で、下げ幅は600ドルを超える場面も。

 前日に932ドル高と今年最大の上昇となったが、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め方針は変わらないとの見方から売り直されているのだそうだ。

 米長期金利が3年半ぶりの高水準に上昇しているのも株式相場の重荷になっている。

 加えて、ハイテク株が多いナスダック総合株価指数も大幅反落で始まったらしい。

 

 恐らく明日の東京市場も、ニューヨーク同様不安定な相場となろう。

 ただ、そうしてニューヨーク市場が乱高下する市場には、今後プーチンが今際の際(いまわのきわ)に核ミサイルを発射する脅威も、ロシア産原油が禁輸になる脅威も織り込まれていない。



 ワシントンの共同通信は、萩生田光一経済産業相は4日の記者会見で、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長がロシア産石油の禁輸を提案したことに関連し、日本として実施することに否定的な考えを示した事を伝えている。  

 「日本は資源に限界があり、直ちに足並みを揃えてというのは難しい」と述べたのだそうだ。


 萩生田氏は「できる国ができることをやっていくことで足並みをそろえていく必要がある」と指摘。

 バイデン米大統領が週内に先進7カ国(G7)で追加制裁について協議する意向を示したことには「方向性は共有したい」と述べたと言う。


 また先日読売新聞では、英エネルギー大手BPは3日発表した2022年1~3月期決算で、ロシア事業の撤退により、税引き前ベースで計255億ドル(約3・3兆円)の損失を計上したと報じた。

 19・75%を保有するロシア石油大手ロスネフチ株の価値を0にした他、ロスネフチと手がける共同事業の損失も嵩んだと言う。


 この結果、1~3月期の最終利益は204億ドル(約2・7兆円)の赤字となった。

 ただ、ロスネフチ関連の損失は会計上の処理によるもので、現金の流出はなく、実質的な最終利益は62億ドル(約8000億円)としている。

 原油や天然ガスの価格が上昇している為。


 財務の健全性も維持されている。

 ただ、バーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)は声明で「1~3月期は、ウクライナでの惨劇と変動の激しい市場に見舞われた」と述べたと言う。



 これら日本や英エネルギー大手BPを襲った現象は、株式市場に巣食う「ロシアリスク」と言う名の「癌」とも言えよう。


 しかしこれら株式市場に巣食う癌は、プーチンの身体を蝕む癌が進行すればする程、取り除かれて行くことになると言うのは、何とも皮肉である。


 とは言え、ウクライナに平穏の日々を取り戻す為には、それも必要不可欠な事なのだ。


 ただ、そんな「ロシアリスク」と言う名の「癌」を市場が見過ごにしているのだから、何とも異常な相場環境と言えよう。



 何よりも先ずは、ウクライナに恒久の平和を祈る。


 ウクライナに栄光あれ!




 追伸・私としては、セルインメイ「5月に売れ」の格言を、今一度に胸に刻んでいるところ。

 日経平均が28000円を取り戻し、日経ダブルインバース(弱気ETF)が350~360円の安値を付けたら、一先ず資金の7割程度をダブルインバースに置き換えるつもりだ。