世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

習近平氏を襲う三重苦による、株価急落の懸念


 テレビ朝日の伝えるところによると、50日以上ロックダウンが続く中国・上海が「ゼロコロナ」を達成したと言う。


 上海市当局は17日、「社会面ゼロコロナを達成した」と発表したらしい。


 社会面ゼロコロナとは、当局が重点的に閉鎖管理している地区以外での新規感染者が3日連続でゼロになることを指す。


 一方、厳しいロックダウンで経済に深刻な影響が出ている。


 「上海市自動車販売業協会」によると、4月の新車販売台数は「ゼロ」だったという。


 協会は「販売店の資金繰りが破綻する可能性がある」と指摘。


 中国政府は自動車の販売促進政策を行うと表明したのだそうだ。




 そうして経済面でも多大な犠牲を払いながらも、絶対に「ゼロコロナ」を止めようとしない習近平氏。


 いったい何故彼は、今や世界の常識となっている「ウイズコロナ」と言う方途に、舵を切ることをしないのか?


 その事について書かれている、非常に興味深い記事を発見した。


 以下にその記事を引用する。


 日刊ゲンダイデジタルで報じられた、ジャーナリスト・姫田小夏氏の記事である。




 ロックダウンが続く中国・上海だが、奇妙なことが起こっている。


 5月に入り新規感染者数はみるみる減少に転じているが、検査体制がこれまで以上に厳しくなっているのだ。


 上海の浦西エリアに住む日本人男性はこう明かす。


 「5月8日から1日当たりの感染者数は3000人台になりましたが、なぜか10日からPCRと抗原検査を毎日やることになりました」


 この日本人男性が住むマンションでは、これ迄PCR検査を週1回のペースで行ってきた。


 それが毎日になり、しかもPCRと抗原検査の2つを同時に行うようになった。

 

 いったいこれは何を意味しているのか。


 中国の政治情勢に詳しい在外華僑の記者は「検査を増やすほど感染者数が増える。なんとかして感染者数を増やそうとしているかのような、意図的なものを感じる」と話す。


 感染者が根絶されない限りロックダウンは終わらないとしたら、上海のPCR検査体制をこれまで以上に強化するのは、封鎖状態を継続させるために他ならない。


 封鎖状態を継続することは、誰にとって都合がいいのか。


 前出の記者はこのロックダウンのターゲットはコロナではないとし、次のように話す。


 「習近平(国家主席)の人事に反対する江沢民派閥や胡錦濤派閥を北京に行かせない、つまり毎年夏に行われる北戴河会議に出席させないための都市封鎖ではないか」


 北戴河会議とは、毎年夏、中国共産党の現役指導者や引退した長老などが河北省の避暑地・北戴河に集まり、党幹部人事などの重要政策を議論する会議だといわれている。


 今秋開かれる第20回共産党大会で習氏の第3期続投が決まると臆測されているが、人事が正式に確定するのは、それに先立つ北戴河会議ともいわれている。


 上海市の当局は15日、商業施設などの営業を16日から段階的に再開させると発表したが、住民は家から出られるのかどうか。


「北戴河会議が開かれる夏まで幽閉される可能性もゼロではない」(前出の記者)


 浦東に在住する日本人女性はこうつぶやいた。


 「刑務所に入っていたら、きっとこんな気分なんでしょう」


 ちなみにこの女性は、3月18日から外の空気を吸っていない。


 籠城生活はすでに60日を超えた。 




 事の真偽はさておき、以上の記事が示すような事が理由で、習近平氏が「ゼロコロナ」に固執するのであれば納得がいく。


 それに、今後は「ウィズコロナ」でやって行くしかない事くらい、習近平氏も分かっている筈だろうし、頑なに上海の封鎖を解かないのも、普通に考えれば解せないところだ。


 それにしても北戴河会議なる長老が出席する会議とは、習近平氏をも恐れさせるほどのパワーがあるようで、何とも不気味である。


 何れにしても、全人代のような予定調和の形式だけの会議と異なる事だけは確かだ。


 また、上記のような記事が書かれると言うことは、北戴河会議に出席する長老達が、習近平氏の「ゼロコロナ」政策を支持していない事の、もっと言えば、習近平氏自身を支持していない事の裏返しだとも言えよう。


 とは言え、今更習近平氏に於いても、「ゼロコロナ」政策を止める訳には行かないだろうし、彼に取っては何とも悩ましいところ。


 と、これが、習近平氏の三重苦のうちの、第一の苦難。


 次いで習近平氏の第二の苦難は、迷走する北朝鮮である。




 ソウル聯合ニュースの報じたところでは、韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は19日、非公開で開かれた国会情報委員会で、北朝鮮が新型コロナウイルスの感染拡大の中でもミサイルを発射する兆候があるとして、「核実験も準備を終え、タイミングだけを見計らっている」と報告したと言う。


 また韓国国情院は北朝鮮の新型コロナ感染状況に関し、5月末から6月初めにピークに達すると推定したらしい。 

 北朝鮮はワクチンについて「効果がなく接種する必要がない」との立場だったが、17日に朝鮮労働党機関紙、労働新聞が「ワクチン接種もコロナを防ぐことに効果がある」と報じたことを機に状況が変わったとの見方を示したのだそう。


 北朝鮮が韓国からの医薬品支援の呼び掛けに回答していないことについては、実質的に拒否したとみられると報告。

 海外から支援を受ける場合、最初は中国でその次が国際機関であり、米国と韓国は最後になるとして、「とりあえずは中国から医薬品の支援を受けて解決しようとしており、中国と外部の支援を受ければ状況のコントロールが可能とみているようだ」と説明。


 また、北朝鮮では4月末から新型コロナが拡大し始めたが、その前から百日ぜきやはしか、など水系感染症が拡大し、4月末から閲兵式(軍事パレード)などによりコロナまで広がったと報告したらしい。

 そのため、北朝鮮が公表している発熱者の統計の中にはコロナだけではなく水系感染症の患者数が含まれているとの見方を示した。


 新型コロナの流入については、中国と列車の往来があったため、列車を通じて流入したとみられると報告。

 その上で、「5月16日以降は新規発熱者が減少傾向にあると主張し、コロナ感染者は発熱者に比べ少なく、大きな意味を置く状況ではない」と報告したと言う。


 河氏は「北で10歳未満の死亡者が多いが、その原因はコロナだけではない。水系感染症も大きな原因とみられる」と述べた。


 国情院は北朝鮮の発熱者の管理状況について、発熱者全員を隔離しているわけではないが多くの人を個別施設や学校などに隔離し、体温が下がったら隔離を解除する形で管理していると伝えた。


 北朝鮮が発熱者を毎日公表していることに関しては、「このように管理していることを見せれば民心が落ち着くため」として、「外部に支援を訴えるため発表するのではなく、民心の管理の為発表している」と報告したのだそうだ。




 以上の報道にもあるように、北朝鮮はまたもミサイル発射をするらしいが、そんな金があるなら、新型コロナ対策の為に使うべきであろう、と、まともな人なら考えるところ。


 とはいえ、そんな論理が彼の国の帝王である金正恩氏に通用しないのも、また自明。


 ならばいったい金正恩氏はどうするつもりなのか?

 

 そこで習近平氏の出番である。


 習近平氏としては、それでなくとも自国でロックダウンが続き、経済面での不安も囁かれるなか、更に北朝鮮に財政支援をしている場合ではないが、では、コロナ対策により資金不足に陥った北朝鮮が、ミサイル発射や核実験を止めて西側諸国の脅威でなくなったとすればどうなる?


 そうなった場合、一番困るのは習近平氏なのだ。


 何となれば、北朝鮮が脅威であるからこそ、中国が隣接する韓国や日本と直接対峙しなくても良い訳で、それが緩衝地帯の北朝鮮が崩壊して民主化などしようものなら、今度は北朝鮮が中国の脅威になるからである。


 畢竟、習近平氏としては、幾ら金が掛かろうと、手間が掛かろうと、北朝鮮には脅威で有り続けて貰わなければ困る訳で、北朝鮮の新型コロナ感染状況がピークに達するであろう5月末から6月初め頃には、習近平氏は自国だけでなく、北朝鮮に対しても金と手間を掛けなければならなくなるのだ。


 と、これが、習近平氏の三重苦のうちの、第二の苦難。


 次いで習近平氏の最も頭の痛い第三の苦難は、ロシア軍の敗北である。




 読売新聞オンラインによると、ロシア軍のウクライナ侵攻への異論を情報統制や弾圧で封じてきたロシアで、侵攻作戦への批判や疑問が国営テレビやSNSを通じて出始めたと言う。


 世論調査ではプーチン大統領や侵攻への支持率は依然高いが、侵攻の長期化で微妙な変化が生じているようだ。


 退役大佐で軍事専門家のミハイル・ホダリョノク氏は16日夜に放映された国営テレビの人気討論番組で、言葉を選びつつ侵攻を批判する発言を繰り返したのだそうだ。


 ホダリョノク氏は、戦況に関し「我々は近い将来、米欧の先端兵器を手にした100万人のウクライナ兵を相手にしなければならなくなる」と指摘し、「耳に響きの良い情報」に惑わされないよう呼びかけた。


 そして「重大な問題は、我々が完全に国際的に孤立しているということだ。状況はさらに悪化するだろう」との懸念も示した。


 また軍出身で野党・共産党のビクトル・ソボレフ下院議員は、最近のネットメディアとのインタビューで、露軍がウクライナ東部ドンバス地方で目立った戦果を上げられないのは「驚きだ」と述べたと言う。


 ロシアの独立系世論調査機関が4月に実施した調査では軍事作戦を74%が支持し、プーチン氏の支持率も82%だった。


 米政策研究機関「戦争研究所」は16日、SNSの世界でも露軍に好意的だった専門家の一部が露軍の戦いぶりに疑問を示し始めている点に注目し、世論に一定の影響を及ぼす可能性があるとの分析を明らかにしたと言う。



 

 以上の報道からも、最早世界的に孤立したロシア軍の敗北は、ロシア国内の軍事専門家でさえ、口にするところとなっている。

 

 こうなると、ウクライナ全土からロシア軍が撤退するのも時間の問題である。


 また、そうなった時、プーチン政権の閣僚達は元より、プーチン自身の命運も尽きる。


 だからこそ、そうならない為にも、習近平氏は全力でプーチン政権を支えなければならないと言うことになる。

 

 仮にウクライナに敗北したせいで、ナワリヌイ氏など欧米と通じた人物がロシアに政権を樹立したとしたら、我々西側諸国に取っては喜ばしいことこの上ないが、習近平氏に取って、それは悪夢以外の何物でもない。


 ただ、ロシアを支えるとなれば、中国に取っては経済的にも多大な負担を伴うだろうし、或いは中国もロシアと一蓮托生とされ、西側から経済制裁を受けるやも知れない。


 とは言え、世界から何と非難されようが、プーチンか、或いは仮に彼でないとしても、シロビキのうちの誰かなのか、とにかく習近平氏は、専制国家としてのロシアの君主を支えなければならない。

  

 何となれば、仮にロシアが民主主義国家になどなろうものなら、米国以外に国境を接する敵国が2倍になり、習近平政権の脚許を脅かすことになるからだ。


 故に習近平氏としては、何としてもそれを防ぎ、自身の三期目を揺るぎないものとしなければならないのだが、果たして彼は、それら前述した三重苦を乗り越える事が出来るのだろうか?


 私としては、それを、否、と、言いたいし、専制国家の君主達をこのままのさばらして良いとも思わない。


 然し乍ら、前述した経緯で習近平氏が追い詰められれば、追い詰められるほど、世界経済は多大な損失を被る。

 延いては世界の株価も・・・・・。


 そんな今日、またも株価は反落。

 以下の日経電子版の記事を参照戴きたい。




 19日の東京株式市場で日経平均株価は5営業日ぶりに反落し、前日比508円36銭(1.89%)安の2万6402円84銭で終えた。

 前日の米株式市場で主要3指数が大幅安となった流れを受け、東京市場でも値がさ株を中心に幅広い銘柄に売りが出た。

 午前には下げ幅が700円を超える場面があった。

 米株価指数先物が日本時間19日の取引で下げ幅を縮めると、日経平均先物にも短期筋の買いが入り、指数の下値が切り上がった。

 前日の米株式市場では小売企業の決算が市場予想を下回り、急速なインフレ進行を背景とした景気減速の懸念が強まった。

 米連邦準備理事会(FRB)の進める積極的な金融引き締めが景気を冷やす「オーバーキル」につながるとの警戒が一段と高まり、東京市場でも投資家心理が悪化し、終日売りが優勢だった。



 また今夜のニューヨーク市場も、芳しくない滑り出しである。


 日経電子版NQNニューヨークの戸部実華受によると、19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落して始まったと言う。

 午前9時50分現在は前日比449ドル89セント安の3万1040ドル18セントと、前日に付けた年初来安値を下回っている。

 低調な小売り決算が相次ぎ、インフレが企業収益を圧迫するとの懸念が強まっている。 

 物価高と景気停滞が同時に進むスタグフレーションへの警戒から幅広い銘柄が売られているのだそうだ。




 先日来私は、セルインメイ「5月に売れ」の格言を、今一度に胸に刻んでいるところであり、日経平均が28000円を取り戻し、日経ダブルインバース(弱気ETF)が350~360円の安値を付けたら、一先ず資金の7割程度をダブルインバースに置き換えるつもりだと書いている。


 然し乍ら、ニューヨークも、東京も、株価はさっぱり上向かない。


 加えて昨日デイトレードに失敗した私は、こともあろうに自身の都合で、それをスイングトレードに切り替え、今日更にその銘柄の株価が更に下落して、手痛い目にあったばかりなのである。


 もう少し早く、日経ダブルインバース(弱気ETF)を買うべきだったか、と、心が揺らぐのが人情と言うもの。 

 が、何としても私は当初の予定通り5月最終週迄、その機会が到来するのを待つ。


 昨日、今日と、私は「木を見て森を見ず」の格言通りに失敗したのだが、次回の日経ダブルインバース(弱気ETF)のトレードだけは失敗したくない。


 私としてはウクライナの勝利を目前にした今、御祝儀相場宜しく、ニューヨークや東京の株価が再び上昇する事を信じたい。

 或いは、その先にある中国経済の停滞による、株価急落をも信じて。


 さて、そうした相場が到来するのか?


 相場の一寸先は、神のみぞ知るところ。




 何よりも、ウクライナに恒久の平和を。


 そして、ウクライナに栄光あれ!