世界情勢と株価変動

日々の世界情勢と株価変動について考察

緊張が走るフィンランドの森と、木を見て森を見ずのSBG決算

 


 TBS NEWS DIG Poweredの報じたところによると、フィンランド政府は先ほどNATO=北大西洋条約機構の加盟について「速やかに行う」と表明したと言う。


 フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は先ほど共同声明を発表し、NATO=北大西洋条約機構の加盟について「速やかに行う」と表明。

 「NATO加盟はフィンランドの安全を強化する」と強調したのだそうだ。


 地元メディアによるとフィンランド政府は15日にも大統領、首相、関係閣僚による会議を行い、NATO加盟申請についての政府の方針を正式に決定する見通しであり、同国はロシアと1300キロの国境を接していて、これまで伝統的に軍事的中立の立場をとってはきたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けこれを転換することになる。


 今回のフィンランド政府の発表を受けロシア側の反発は必至。

 また、フィンランドの隣国スウェーデンも加盟に向けての議論が続いていて近く態度を表明すると見られているらしい。



 先日、フィンランドのマリン首相が初来日し、岸田首相と首脳会談を行った訳だが、彼女はただの美人政治家ではない。


 相当な切れ者と見た。


 何となればこのタイミングで、日本だけを狙い打ちに訪問したからである。


 これは私見であるが、彼女は安全保障上、北欧の、否、北欧ばかりでなく、欧州のなかの日本を目指そうと考えているような気がするのだ。


 つまりマリン首相はフィンランドが如何にしてNATOや米軍と関係を保つか、或いは距離の取り方など、日本の安全保障の形を模倣したいと考えていると思うのである。


 日本には、米国のATMと揶揄されながらも、或いは米国の51番目の州都だと世界から揶揄されながらも、巧みに米国の軍事力を背景に、必要最小限の国防費で国家運営を賄って来た実績がある。


 彼女はそこを見ているのだと思う。


 米国に金は持っていかれるものの、日本は何とかロシア、中国、北朝鮮と言う、日本海を隔てて隣接する専制国家と折り合いを付けているのだから、フィンランドの良いお手本になろう。


 ただ、日本と米国をドラえもんに登場する人物に喩えた、ジャイアンとのび太の関係には、フィンランドもなりなくはない筈。


 それでも、ウクライナ侵攻を目の当たりにすれば、のび太であろうと、スネ夫であろうと、ジャイアンを後ろ楯とすることくらい、何の問題があろうか?


 形振りなど構ってる場合じゃない!


 と、でも、言ったところのマリン首相であるが、彼女には是非とも岸田首相から、沖縄県民の負担を伝えて欲しいものである。



 遡れば、昭和20年6月。

 多大な県民の犠牲を払った沖縄本土決戦。


 陸軍参謀本部編制課と陸軍省軍事課が合体した陸軍中央の動員組織は、終戦直前に大動員を掛け、沖縄本土決戦に動員した32軍には後詰めの兵も送らずに、加えて無惨にも徹底抗戦を強いた沖縄県民を捨て石に使った。


 その32軍の牛島司令官は、日米開戦時にその報告を聞くと驚愕し落胆したと言う。

 優秀な牛島は日中戦争の長期化に矛盾を感じており、戦争を早く終結させ、日本陸軍創設以来の仮想敵国であるソ連に対し万全の備えを講ずるべきという持論を持ち、太平洋で米英相手に戦うのは無謀だと考えており、それが故に彼は動員前まで、陽の当たらない教育畑を歩いて来たのである。

 そうして彼は、当時陸軍中央の大勢を占める徹底抗戦派の参謀らからすると、忌むべき存在であったと言える。


 それが1944年8月、第32軍司令官に親補され、沖縄に赴任することとなったのだから、何をか言わんやである。


 陸軍中央は彼を死地に追いやり、沖縄県民と共に見捨てたのだ。


 その上戦後の沖縄には、返還迄の労苦、基地負担、或いは米兵による沖縄県民の婦女暴行事件など、多大な負担がのし掛かってきたのである。

 

 私は沖縄県民と出会ったり、話をしたりするとき、先ずは彼らに深く一礼を尽くすようにしている。


 何故なら本州に住まう私は、彼ら先達たちの尊い犠牲の上に、今を生きているからだ。


 また、それ故私は世に言う沖縄戦を、沖縄本土決戦と言うことにしている。


 その理由は、陸軍中央の参謀らが、沖縄戦を本土決戦の為の時間稼ぎだと見ていたからである。

 つまり沖縄を本土の為の捨て石にしたと言う事は、彼ら参謀が沖縄を日本と見ていなかった事と言うことであり、沖縄県民を日本人と見ていなかったと言う事になる。


 こんか不条理があるか?

 あってたまるか!


 故に私は、それら当時の陸軍中央の参謀らへの憤りと、祖国の為に散って逝った当時の沖縄県民への鎮魂の祈りを込めて、沖縄戦を沖縄本土決戦としているのだ。 


 尤も、当時の日本は、国全体が狂気のなかで狂気の沙汰を行っていたのであり、一概に本土決戦派の参謀らを責める訳にも行かないのだろうが。


 とにもかくにも、是非ともその辺りを、フィンランドのマリン首相には知っておいて戴きたい。


 今の日本の安全保障は、沖縄と沖縄県民の犠牲の上に成り立っていると言う不条理を。

  

 従って、ロシアと国境を接するフィンランドの森には、沖縄のように一部地域にだけ特定の負担を強いることは、何としても避けて貰いたいところである。

 


 さて、話は一転するがSBGの決算である。

 

 12日、時事通信の伝えるところによると、ソフトバンクグループ(SBG)が12日発表した2022年3月期連結決算(国際会計基準)は、純損益が1兆7080億円の赤字(前期は4兆9879億円の黒字)に転落したと言う。


 大手証券によると、赤字幅は日本企業で過去2番目の大きさ。

 米国の金融引き締め観測やロシアによるウクライナ侵攻を背景として世界的に株安が進み、投資事業の損益が悪化。

 国内企業の過去最高益を記録した前期から一転、2期ぶりに赤字に陥った。


 赤字額はSBGとして過去最大で、みずほフィナンシャルグループが03年3月期に計上した2兆3771億円に次ぐ規模。

 東京都内で記者会見した孫正義会長兼社長は「取るべき行動は徹底した守りだ」と強調。手元の現金は十分に確保しているとしつつ、当面は新規の投資先を厳格に選ぶ方針を示した。 



 ただ、そうしてSBGの孫正義会長兼社長は、投資先を今後厳格に選ぶ方針を示したのだが、それこそ正に「木を見て森を見ず」の格言の具現化ではないだろうか。


 傘下のヤフーやモバイルのソフトバンクは好調だと言うが、本体のSBG自体は最早IT企業ではなく、機関投資家である。


 つまり機関投資家である以上、SBGは相場のプロと言える。  

 それもかなり大手の。


 そもそも米国の金融引き締め観測やロシアによるウクライナ侵攻を背景として世界的に株安が進み、投資事業の損益が悪化したなどと言う理由付けは、プロの機関投資家なら許されるものではない。


 いったい孫正義氏には起業家であり、経営者である前に、プロの投資家であると言う自負は無いのだろうか。


 自身以外のストックホルダーに語るべきは、先ずはそこからではないのか。

 

 プロの投資家であると言う自負に基づいて話をしないと、今回の赤字転落を、彼以外のストックホルダーは納得しないと思うのだが、幸か不幸か、私はSBGのストックホルダーではない。


 私が言うべきことではないが、マリン首相が緊張の走るフィンランドの森を見て、危機を回避しようと努力しているように、孫正義CEOには株式市場と言う大きな森を見て、今後のSBGの経営判断をして戴きたいものだ。


 そうして戴ければ、私もSBGのストックホルダーになるのだが。


 そんな今日、12日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比464円92銭(1.77%)安の2万5748円72銭で終えたと言う。

 日経電子版の伝えるところでは、2万6000円の節目を割り込み、3月15日(2万5346円)以来およそ2カ月ぶりの安値となった。

 前日の米株式市場で根強いインフレへの懸念から主要3指数がそろって下落した流れを受け、東京市場でも幅広い銘柄に売りが出たのだそうだ。 

 主力値がさ株の下げが大きく、日経平均の下げ幅は一時500円を超えた。


 11日発表の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が市場予想を上回った。

 インフレ率の高止まりで、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを加速させるとの警戒から、同日の米株式相場は下落。

 東京市場でも米金利上昇で割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)の成長株を中心に下げが大きかった。


 

 先日、私としては、セルインメイ「5月に売れ」の格言を、今一度に胸に刻んでいるところであり、日経平均が28000円を取り戻し、日経ダブルインバース(弱気ETF)が350~360円の安値を付けたら、一先ず資金の7割程度をダブルインバースに置き換えるつもりだと書いた。


 然し乍ら、ニューヨークも、東京も、株価は下落に継ぐ、下落を重ねている。


 もう少し早く、日経ダブルインバース(弱気ETF)を買うべきだったか、と、心は揺らぐが、5月最終週迄は、その機会が到来するのを待つつもり。


 私としては、何としてもウクライナには勝利を掴み取って貰い、ニューヨークや東京の株価が再び上昇する事を信じたいのと、また相場が真に急落するのは、その先にある中国経済の停滞によるものと考えたいのである。


 さて、それが的中するのかどうか?

 相場の一寸先は、神のみぞ知るところ。




 何よりも、ウクライナに恒久の平和を。


 ウクライナに栄光あれ!